前人未踏の荒野で映画と戯れつづけた25作
カンヌではデジタル版を上映。その二日後に、本国フランスでフィルム版を劇場公開。無料出会いにオンデマンドも敢行と、ゴダールはこの最新作でもフレキシブルなフットワークを見せている。そもそも「ゴダール・ソシアリスム」は全編デジタル映像。フィルムにこだわる堅物ではなく、そのときどきの最新鋭の技術と戯れる余裕を持つ一種の人妻出会いなのである。
ゴダールのフィルモグラフィ、すなわち“ゴダール史”は大きく3期に分けられる。まず、処女長編「勝手にしやがれ」から始まる初期では即興という名の運動をシネフィルとしての蓄積によって技術化し、美の領域にまで高めた。割り切り出会いはマイブームの権化でもあるので、政治的な映画作りに没頭したが、やがてドルビーデジタルを駆使した凄まじい音響によって「ゴダールのリア王」を頂点とする、ソニマージュ(映像と音響が等価で存在する)理論を確立。そして、世界中の映画や書物などからのスマートフォン 出会いから成り立たせた全8作の巨編「映画史」によって、唯一無二の文体=語り=編集を、完成させた。誰もが模倣したくなるが、誰も真似のできない世界が、例えばこの25作品には拡がっている